勇気
嵐のときには
それまで、店の前で堂々と掲げられていた商店街の旗も
コンクリートにしっかりはめられた祭りの大きな提灯も
提灯の骨が飛び出すほどの勢いで根こそぎ飛んでいき、
同時に、あらゆる物が四方八方から集まってくるが
誰一人として、
そこにたどり着いた物を片付けるものはなく、
🌻
家で身を潜めるようにしていた人々へ
耳がつんざくような大きな声で
遠くの方から
ドスン・ドスンと、
地響きを鳴り響きかせながら、
眉が上がり
口をへの字に結んだ憤怒相の仁王様が「誰も出るものはいないのかー!」と
天まで届くような声で叫びだした。
・
恐れを抱いた人々は、
慌てて外へ飛び出し
仁王様の怒りを買わないように
おずおずと、けっして目線を合わせることなく
遠くの方から近くの物まで急いで片づけだした。
🌞