たんぽぽ
春一番に咲く たんぽぽは、
それまで白、一色だった地に存在感を示し
人々は、
「春がやってきたんだ!」と、
たんぽぽに感謝し心躍る時間をいただいたが、
やがて
辺りが黄金色のように発色した頃には、
踏まれることがあっても
道行く人々の目には止まることも無く
じっと 我慢し耐え忍び
再び翌年へ向かい綿毛を飛ばそうと希望を持ち始めた。
しかし、何度も何度も踏まれ続けたたんぽぽは、
息も絶え絶えになり
やがて、
たんぽぽの気持ちを察した風が「今だよ!乗りなよ」と声をかけ
たんぽぽは、あらん限りの力をふりしぼり
自ら風に飛び乗り
すずめは、「こちちだよ」と道案内し
緑の大地が待ち構える地へと
希望をもって風に乗り飛び去っていった。
勇気をもって居場所を見つけたたんぽぽは、
翌年には、
しっかり踏まれることのない緑に囲まれ
小さなたんぽぽが咲きほこっていた。